少し時間が経ってしまいましたが、2月に伊勢丹新宿本店の招待制イベント「丹青会」に参加してきました。今回はイベントそのものの体験についてお伝えして、実際に購入した2点──ロエベのチャームと、ジョナサン・アンダーソン体制のDiorのアイテム──については、②③で詳しくレビューしたいと思います。招待の連絡をいただいたのは開催の数週間前で、ハガキで知らせが届きました。丹青会という名前は以前から耳にしていたものの、実際に参加できる立場になったのは今回が初めてで、当日までの間、普段の買い物とは違う”特別な予定”が生活の中にあるというだけで気持ちが上向くのを感じていました。
■丹青会とは?会場に向かう前に知っておきたいこと
丹青会は、三越伊勢丹が年2回開催する招待制のイベントです。招待基準は非公表ですが、一般的には年間の購入実績に応じて招待されると言われています。
今回参加した春の会は「ISETAN TANSEIKAI SPRING & SUMMER 2026」と題され、2026年2月6日〜8日の3日間開催。初日の6日は全館貸切で、招待されたお客様とその同伴者のみが入場できる特別な日でした。
「丹青会 とは」「丹青会 いつ」といった検索でこのページにたどり着いた方も多いと思うので、実際に参加した一人として感じたことをできるだけ具体的に書き残しておきたいと思います。ちなみに”丹青会”という名前の由来は、伊勢丹の公式サイトなどを見ても明確な説明は見当たりませんでした。細部まで多くを語らない姿勢そのものが、この会の”謎めいた特別感”を演出しているのかもしれません。服装について特に指定はありませんでしたが、私は普段の買い物よりも少しきちんとした服装を意識して向かいました。
■会場に足を踏み入れた瞬間から、すでに特別だった

会場に着いてまず驚いたのは、普段開いているはずの入口がほとんどシャッターで閉まっていたことです。入店できるのは決められた入口だけで、そこでももちろんインビテーションの有無を確認されます。

その入口には、鮮やかな色彩の特設バナーが掲げられていて、「これはいつもの買い物とは違う」という空気を、足を踏み入れる前から感じさせてくれました。シャッターの前では案内スタッフの方が招待状を確認し、「本日はお越しいただきありがとうございます」と声をかけてくださったのですが、その一言だけでも普段の買い物では味わえない特別感がありました。会場を歩いていて印象的だったのは、スタッフの方々の接客の”温度感”です。急かされる感覚がまったくなく、こちらのペースで商品を見たり質問したりできる空気があり、人数が絞られているからこそ実現できる接客なのだと思います。
■印象に残ったのは、いつもの伊勢丹にはない”体験”

会場内を歩いていて印象的だったのが、普段の売り場ではまず見かけない体験型のブースです。今回はタフティング(毛糸で絵柄を刺していく手法)の体験コーナーがあり、事前予約制だったので、あらかじめ予約をして実際に参加してきました。毛糸を選ぶ段階からスタッフの方が色の組み合わせを丁寧にアドバイスしてくださり、単なる体験コーナーというより個別レッスンに近い感覚で、気づけば30分近く夢中になっていました。予約が必要なほど人気だったのも、丹青会ならではだと感じます。
来場者には1人1杯のドリンクサービスがあり、一定額以上を購入すると粗品がもらえる仕組みもあったと記憶しています(このあたりは記憶が少し曖昧なので、違っていたらご容赦ください)。こうした細かな演出の積み重ねが、”特別な客のための特別な日”という空気を作っていたように思います。もしこれから丹青会に招待されて参加する機会がある方がいれば、体験コーナーは特に人気が高いので、事前にどのブースを回るか大まかに決め、早めの時間帯に向かうのがおすすめです。
■普段は目にできない商品と、伊勢丹という場所への見方の変化
この日のために用意されていた商品もいくつかあり、普段の売り場では見かけないようなアイテムも散見されました。スタッフの方に伺うと、数量が限られていたり、この日に合わせて先行して並べられているものもあるとのことで、”今日しか見られないかもしれない”という空気が、じっくり商品と向き合う時間を後押ししてくれた感覚があります。
これまでも伊勢丹新宿本店にはたびたび足を運んでいましたが、通常の営業日とはまったく異なる緊張感と特別感がありました。同じ建物、同じフロアのはずなのに、”今日だけは違う”と感じさせる演出の積み重ねが、丹青会という特別なイベントの価値を支えているのだと思います。
■同じ時間を共有する”特別な客”という体験
会場を歩いていて感じたのは、来場している人たちの雰囲気そのものも、いつもの伊勢丹とは少し違うということでした。買い物というより、招待された時間を楽しむことを目的にしているような、どこかゆったりとした空気が漂っていたように思います。他のお客様と会話を交わしたわけではありませんが、同じ日、同じ会場に”選ばれた客”として居合わせているという感覚は、想像していた以上に心地よいものでした。
正直に言うと、参加が決まるまでは”自分にはまだ早いのでは”という気持ちも少なからずありました。招待基準が非公表である以上、自分が呼ばれる理由を明確に説明できるわけではないからです。実際に参加してみて感じたのは、招待制という仕組みそのものが、ブランドと顧客の関係を”数字”だけでなく”関係性”として捉え直すきっかけになっているのではないか、ということでした。招待される側として感じたのは、”招待されたから偉い”というよりも、”見てもらえている”という感覚の方が近いということです。
■なぜここまで”特別”を演出するのか
実際に足を運んでみて感じたのは、丹青会が単なる「セール」ではなく、かなり意図的に設計された”体験”だということです。招待制という入口の絞り込み、初日の全館貸切、予約制の体験ブース、ドリンクサービスやノベルティ──どれもECでは再現できない要素ばかりです。実際、今年の丹青会は初日だけで過去最高となる50億円超を売り上げたと報じられています(WWDJAPAN)。
オンラインでいつでもどこでも買い物ができる時代に、なぜわざわざ「その日、その場所に行かないと味わえない」体験にこれほどの熱量が集まるのか。招待という形で”選ばれた客”であることを可視化する仕組みそのものが、購買意欲以上に強い動機になっているのかもしれません。これは、これまでkolorやDiorのブランド論で考えてきた「作り手が意図をどう設計するか」という視点と、根っこの部分でつながっている気がします。丹青会を通じて感じたのは、伊勢丹が単なる”モノを売る場所”ではなく、”関係を作る場所”としての百貨店を目指しているのではないか、ということでした。
実はこれは、私自身にも当てはまる感覚でした。丹青会の噂は以前から耳にしていたものの、実際に行ったことは一度もありませんでした。「閉ざされた会だからこそ行ってみたくなる」という消費者心理は、間違いなく自分の中にもあったと思います。招待基準を今まではクリアできていなかったのに、今回はクリアできた──その実感そのものが、高揚感につながっていた気がします。
まとめ・次回予告
丹青会に参加したことで変わったのは、購入した商品そのものよりも、伊勢丹という場所に対する見方だったように思います。以前はどちらかというと”必要なものを買いに行く場所”という感覚でしたが、今は”関係を築いていく場所”という捉え方に少しずつ変わってきています。入口の演出から会場の空気、体験ブースまで、”特別な客のための特別な日”というコンセプトが徹底されているように感じた丹青会。次回②では、この日購入したロエベの「Fawnie Charm」について、③ではジョナサン・アンダーソン体制のDiorで購入したパッチワークオーバーシャツについて、それぞれ詳しくレビューしていきたいと思います。


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