kolor・Dior・sacai「交代劇」その後|堀内太郎体制のkolorを丸の内店で見てきた話

以前、「ブランドは変わる。私たちはどう受け止めるのか」という記事で、kolor・Dior・Gucciの”交代劇”について書きました。あれから1年ほど経ち、実際に店頭で新体制の服を見て、購入もしてみたので、「その後」をレポートしたいと思います。

■kolor丸の内店で感じた”堀内色”

先週、kolorの丸の内店に行ってきました。ちょうど2026年秋冬コレクションのデリバリーがほぼ終わっているタイミングで、堀内太郎氏がデザイナーに就任してから複数回デリバリーを経た、今の”顔”をまとめて見ることができました。
今回はロンTとニットを購入しました。

率直な感想として、良い意味でデザイナー交代の効果が出てきているというものでした。以前の記事で「期待と不安が入り混じるスタート」と書きましたが、その不安の部分がだいぶ薄れてきた感覚です。
デザイン面はもちろんですが、個人的に一番実感したのはサイジングの変化です。阿部潤一氏の時代の”らしさ”を保ちながらも、着丈やシルエットの取り方に堀内氏なりのアップデートが加わっている印象を受けました。例えば、今までであれば、オーバーサイズで作成されていたサイジングが、もう少しジャストフィットのほうに寄って行っているものが多く、日常で着やすくなったという印象です。オーバーサイズにはファッションを楽しむ感覚がある一方、日常で着る中では機能的に使いづらいと感じる部分があったのも事実です。その点で、堀内さんのデザインはバランスの中でファッションを楽しみやすくなったと思います。

また、レディースに関しても変化が大きいと感じました。堀内さん自身、レディースを得意としているという前評判がありましたが、実際にサイジングの変化が女性らしさをうまく表現できる形になっていると思います。この点は阿部氏の時代にはなかった側面で、消費者側からみると新たなkolorの一面を提示している点で面白味が増えているのだと思います。

■sacaiは変わらない、という安定感

一方のsacaiは、デザイナー体制に変化はありません。阿部千登勢氏が引き続きブランドを率いています。
kolorが世代交代のただ中にあるのに対し、sacaiは”変わらない”ことそのものが安定感になっている―同じ日本発のブランドでも、変化と不変とで対照的な立ち位置にあるのが面白いところです。

変わらない中でも、シーズンの立ち上がりでは話題に欠かない印象があります。以前はドッキングのMA-1やスウェットの人気が抜群でなかなか手にすることができませんでした。それらの人気が一巡してきた印象がありますが、今はレザージャケットが人気となり、初日での完売が続いています。先日のSSのコレクションではビルケンシュトックとのコラボレーションも発表され、高い注目度が維持されていると思います。

■Diorはどうか―丹青会で見た現在地

前回の記事では、ジョナサン・アンダーソンのDior就任について「あまりにも広範な任務だ」「彼の表現がDiorの歴史的な美意識にどうマッチするのか、まだ想像がつかない」と書きました。
その後、丹青会で実際にDior「パッチワーク エフェクト オーバーシャツ」を購入し、店頭でコレクションを見る機会がありました。ディテールを見る限り、LOEWE時代のパズルバッグに通じるような、素材の組み合わせ方や構築的な発想は健在で、少しずつアンダーソン体制の輪郭が見えてきたように感じています。

前任者のキム・ジョーンズのデザインはソリッドで洗練されたイメージであったと思います。そこからジョナサン・アンダーソンに代わり、実生活のエッセンスを加えたカジュアルな要素が生まれたと思います。私自身、前任者のデザインには少しとっつきづらさを感じていましたが、カジュアルさの側面から手に取りやすいものも出てきていると感じています。

■まとめ

1年前の記事で注目した3ブランドの”その後”をまとめると、以下のような現在地です。

  • kolor:堀内太郎体制が”効き始めている”実感。デザイン・サイジング双方に変化
  • sacai:デザイナー体制継続。”変わらない”ことの安定感
  • Dior:アンダーソン体制の輪郭が少しずつ見えてきた

ブランドのDNAは継承されるのか、それとも刷新されるのか――1年前に投げかけた問いに、少しずつ答えが出始めているように思います。引き続き、店頭で見てきたものをベースに追いかけていきたいと思います。

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