ブランドは変わる。私たちはどう受け止めるのか─kolor、Dior、Gucciにみる“交代劇”の現在地

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ブランドは変わる。私たちはどう受け止めるのか

ここ数日で気温が一気に上がり、街はすでに真夏のよう。そんな中、パリ・ファッションウィークは目前に迫っている。
今季は特に、クリエイティブディレクターの交代が相次ぐ、転換期のシーズンだ。
この記事では、その中でも注目の3ブランド──kolor・Dior・Gucciにフォーカスし、今何が起きているのかを見ていきたい。

■kolor:受け継がれる“阿部流”の先に

2024年、阿部潤一氏が退任し、堀内太郎氏が新たにデザイナーとして就任したkolor。
YouTubeの対談動画でも語られていたように、世代交代とブランドのDNAの継承は、いま日本のデザイナーズシーン全体にとっても、大きなテーマだ。

多くの国内ブランドが、まだ創業者主導で運営されている中、kolorは一歩先を行く決断を下した。
堀内氏の初コレクションは、「kolorらしさ」をどう守り、どう更新するのかが問われる場となる。

消費者としては、「別物になってしまった」と感じた瞬間、熱が冷めてしまうものだ。
阿部氏の象徴だったテキスタイルへの偏執的なこだわりや、縫製の美しさを保ちながら、堀内氏がどんな“花”を咲かせるのか。期待と不安が入り混じるスタートだ。

■ファッションウィーク前の1st Delivery─季節感とのズレと向き合う

kolorとsacaiの1st Delivery(AW)は、ファッションウィーク直前に毎年始まる。今年も例外ではなく、先週がsacai、今週はkolorだ。

ただ、この真夏の陽気の中でAWが立ち上がるというタイミングには、やや購買意欲とのギャップも感じてしまう。
とはいえ、今季は阿部氏最後のコレクション。そこには彼の想いの集大成が詰まっているはずだ。温度差を超えてでも、見届けたい。

■ブランドの成長を期待されるデザイナー

売り上げを伸ばすことを期待され、次のブランドへ抜擢されたデザイナーもいます。
以前のブログでも取り上げたジョナサン・アンダーソンとbalenciagaを率いていたデムナ・ヴァザリアです。

Dior × ジョナサン・アンダーソン:革新は可能か?

ジョナサン・アンダーソンは、Diorのメンズだけでなく、レディースおよびオートクチュールまでも手掛けることが決まった。

正直、あまりにも広範な任務だ。
アンダーソンの繊細かつコンセプチュアルな表現が、Diorの歴史的な美意識──特に、ドレスや刺繍、構築性を重んじるオートクチュール領域にどうマッチするのか。まだ想像がつかない。

LOEWEでのデビュー時にPuzzleバッグを発表し、プロダクト一発で時代を切り拓いた彼。
Diorではどう仕掛けてくるのか?既存のサドルバッグを刷新するのか、それともまったく新たなアイコンを打ち出すのか──その戦略が見ものだ。

Gucci × デムナ・ヴァザリア:ストリートはまだ生きているか

Gucciは、アレッサンドロ・ミケーレの後を継いだサバト・デ・サルノのもとで売上が伸び悩み、ついに“切り札”としてデムナが起用された。

だが、個人的にはこの判断に疑問が残る。
デムナはバレンシアガで、過剰に劣化させたスニーカーや、過激にデフォルメされたプロポーションといった表現で一時代を築いた。しかし、その手法はすでに飽和状態ではないか?

ストリートカルチャーは、一時の絶頂からトーンダウンしているのが現実だ。
実際、バレンシアガの近年の売上も鈍化していると報道されている。

2025年秋冬のプレタポルテでは、デムナはスーツからスタートするという異例の展開を見せた。これは彼自身が“脱・ストリート”を模索し始めている証左かもしれない。

Gucciとの親和性がゼロではないにせよ、果たして彼の表現は今のGucciに通用するのか?
デムナのデビューは7月以降とされている。成功か失速か。試される夏がやってくる。

■最後に

kolor、Dior、Gucci─いずれも強力な牽引者を持っていたブランドが、新たなフェーズに突入しようとしている。
今シーズンのパリ・ファッションウィークは、ただの新作発表の場ではなく、ブランドの生死をかけた“方向転換の第一章”とも言える。

あなたは、今シーズンどのブランドの動向に注目していますか?
よろしければ、コメントで教えてください。

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