kolorが教えてくれた、服の奥行き

kolorが教えてくれた、服の奥行き 買い物

 今回は以前のブログで好きなブランドとしていたkolorについて書いてみたいと思います。
最初にkolorの服を見たとき、「自分には無理だな」と思いました。
形も色もクセが強く、どこかとっつきにくい。正直、「よくわからないブランドだな」と感じたのを覚えています。

でも、ある一着との出会いをきっかけに、その印象は大きく変わりました。
気がつけば、今ではクローゼットの中で最も多くのスペースを占めているブランドになっています。
今回はそんなkolorというブランドと、自分自身の見方の変化について書いてみたいと思います。

■ブサイクパンツ

私がkolorに注目するきっかけとなったのは、United Arrowsの栗野さんの著書や記事を読んだことがきっかけでした。

栗野さんの著書
栗野さんはその中で、kolorのパンツを「ブサイクパンツ」と呼びながら、10年以上手放せずに愛用していると語っていました。
そんなにも長く付き合える服って、どんなものなんだろう?と興味を持ち、表参道ヒルズのkolorのショップを訪れたのが始まりでした。

■平面と立体へ

25SS kolor Beaconより

お店でまず目に入ったのは、平面的に吊るされた非常に太いパンツたち。
正直なところ、「これはさすがに自分には無理そうだ」と思いました。太すぎて、着ている自分の姿がまったく想像できなかったのです。

でも、試着してみると、思いがけない体験が待っていました。
布が自分の体に沿って立体的に立ち上がり、全体がスッとまとまる感覚。
これこそが、デザイナー阿部潤一さんの真骨頂なのだと思います。
平面の布から立体的なフォルムを生み出す技術とセンス。そこにkolorの“奥行き”を感じ、強く惹かれるようになりました。

■店員さんとの対話でわかる服の奥行き

こうして足繫くお店に通うこととなるわけですが、オンラインショッピング全盛の時代に、非常に強い動機付けとなっています。
着てみなければわからないシルエット、触ってみなければわからない生地など、kolorの洋服には実際に見てみなければわからない面白さがたくさん詰まっています。
また、その面白味を店員さんと話ながら知っていくことにも面白さがあります。

「こんなシルエットのパンツは今まで試したことはないですね」という私の感想に「実は太く見えるんですが、裾に向かってテーパードしているので、全体はコンパクトにまとまっています」と店員さんからのアドバイスをいただきます。
そして、試着室の鏡に映った自分の姿を見て、思わず「え、意外といけるかも」と声が出そうになりました。太すぎると思っていたシルエットが、テーパードのおかげで絶妙にまとまり、むしろ全体がすっきり見え、妻からも「いいバランスだね」と高評価でした。

■kolorがくれた視点

kolorの服を通して、僕は「服を“見る”だけでなく、体験を通して“感じる”ことの面白さ」を知りました。
服はただのモノじゃなく、身につけて初めて意味を持つ“体験”でもある。
kolorはそのことを、静かだけど確かな方法で教えてくれた気がします。

だから、わざわざお店に行き、手に取り、試着し、店員さんと会話する――
そんなアナログな時間が、今でも自分の中でとても贅沢で、必要なものとして残っています。

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